ブラック・ボックスは、1977年ころにイギリスのウォデイントン社から発売された2人ゲームである。知名度は高くないが、パズルとして魅力的なゲームだと思うので、ここで紹介したい。
このゲームは1人が出題者になり、もう1人が解答者となる。出題者は、8×8の手控え用の盤に、4箇所または5箇所ボールの位置を示すこまを置くか、クレヨンで書き込む。このボールの位置を、解答者が推理で当てるゲームである。
解答者の前には大型の盤(8×8)が置かれる。これがブラックボックスである。中はまったくわからないので、外側から光線を当てて、その挙動でボールの在処を推理する。盤の周囲に番号をつけてみた。光の進み方は次の規則に従う。
- 光は直進する。したがって、1に光を当てると直進して24に抜ける。
- 光線の進路にボールがあると、光はそこで吸収される。3に光を当てるとそうなる。
- 光線が、ボールのあるます目と頂点を接するます目に達すると、そこで90度向きを変える。その結果、5からの光は右折し、17からの光は左折する。
- 19からの光線のように、1つ間を置いて2つ並んでいる2つのボールの間に達すると、そこで光は180度向きを変える。つまり反射する。その結果、もとの19から出てくる。
- 21のように、光を当てたます目のすぐ隣のます目にボールがあると、光は中に入らず、反射して出てきてしまう。
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解答者は光を当てる箇所を指定し、出題者は光がどこに抜けるか、あるいは吸収や反射されるかを知らせる。それをくり返して、示された数のボールの位置を全部当てるのである。しかし、ことはそう簡単ではない。次の図を見てほしい。
2に当てた光線は、23に抜けている。これはその間に何の障害物もないように見えるが、実はそうではない。また5に当てた光は吸収される。だから5の正面にボールがあるように思いがちである。しかし、この図のように1回曲がって吸収されることが少なくない。12からの光が反射されるのも同様である。こうした可能性も考慮に入れて判断しなければならない。
そこで問題。次の図において●からの光は吸収、△からの光は反射されるものとし、Aからの光はA'に抜け、Bからの光はB'に抜けたとすれば、5個のボールはどこにあるだろうか。
問題:5個のボールの位置は?
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