1−3.魔方陣(方陣) |
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魔方陣 (方陣) は縦、横、n個ずつのます目に数を入れて、縦、横、斜め(対角線)のn個の数の和が一定になるようにしたもので、これをn方陣と呼んでいる。二方陣は成り立たないので、三方陣が最小のものである。 現在ではパズルの対象でしかない魔方陣も、昔の人にはよほど不思議で神秘的に思われたに違いない。西洋でも、魔方陣はその神秘性のために、占星術に利用された。十六世紀前半、占星術者コルネリウス・アグリッパは、魔方陣と惑星とを結び付けて、三方陣を土星、四方陣を木星、五方陣を火星、六方陣を太陽、七方陣を金星、八方陣を水星、九方陣を月のそれぞれシンボルであるとした。 ドイツの画家、アルブレヒト・デューラーの銅版画「メレンコリア(ゆううつ)I」[4]の中に四方陣が描かれているのも、こうした占星術的な意味を持っていて、ゆううつを打ち消す木星のシンボルとして描かれたものと解釈される。なお、この方陣の下の段の中央に1514とあるのは、この銅版画の制作年度を表している。 |
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こうしたこととは別に、魔方陣のパズルとしての解明も進んでいて、早くも1275年に中国の楊輝が著した 『続古摘奇算法 巻上』には、13種の魔方陣が載っているだけでなく、三方陣と四方陣の作り方も述べられている。 一辺のます目が奇数個の方陣、つまり奇方陣の作り方もモスコプロスは述べているが、ここではその改良型と見られる「バシェーの方法」を説明しよう。これは、フランスのバシェーが16世紀前半に著した『数の遊戯問題集』(Problemes Plaisants et Delectables)の中で述べているものである。 |
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しかし、これらの方法では、いろいろとバラエティに富んだ魔方陣を作るというわけにはいかない。もっと自由に作品を作りたいというのであれば、万能方陣を利用する方法がある。[10]は四方陣の万能方陣である。縦、横、斜め(対角線)のどの一列を取っても、 A+d=19 とでもして魔方陣を完成させればよい。一例を挙げれば A= 7:B= 5:C= 4:D= 6 とすれば、4から19までの連続数による四方陣ができて、その左上に19,9,4と数が並ぶ[11]。このほか工夫次第でおもしろい魔方陣ができるので、研究してみて頂きたい。 |
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