1−14.ねずみ算とフィボナッチ数列 |
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飛躍的に数が増大することを、よく「ねずみ算的に増える」というが、ねずみ算とはどんなものかを知っている人は極めて少ない。吉田光由の著した『塵劫記』(寛永8年版、1631)[1]によれば、ねずみ算は次のような問題になっている。 正月にねずみの夫婦が現れて、子を12匹生んだ。親とともに14匹になる。2月になると、子どもも成長して親となり、一対で12匹の子を生む。親もまた12匹生むので、親、子、孫の合計は98匹になる。このようにして、月に一度、親も子も孫もひ孫もやしゃ子も12匹ずつ子を生み続けたとすると、12月の間に何匹になるだろうか。 この答は、なんと276億8257万4402匹になる。途中経過を[2]に表で示した。その計算法であるが、月数をnとすれば、ねずみの総数は2×7nとなる。したがって十二か月では、 2×712=27682574402 となる。ただ、この計算が成り立つためには、生まれた子がおす、めす同数であることが前提である。 ところで西洋でも、1220年ごろのイタリアの数学者フィボナッチが、うさぎ算とでも呼ぶ問題を考えている。 1対の親うさぎがいた。彼らは月に1回1対の子を生む。子は2か月後には成熟する。1年の終わりには何匹になるだろうか。 1月は1対である。2月は子を生んで2対になる。3月にはさらに1対の子を生んで3対になる。4月になると、親が子を生むだけでなく、子も成熟して子を生む。そこで5対になる。こうして対の数は、 1、2、3、5、8、13、21・・・ となる。この数列は、それぞれの項がそれに先立つ2項の和だという特色を持っている。したがって、12月までの計算は容易にできる。たとえば8月は13+21=34として求められる。以下、 9月 21+34=55 となる。こうしたフィボナッチ数列は、自然界のあちこちに見られ、その点でも注目されている。 |
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