パズル専門誌に「パズル通信ニコリ」がある。1980年に創刊された。最初は不定期刊行だったが、現在は隔月に刊行されている。(注・2001年現在は季刊)書店に並ぶパズル雑誌は数多いが、大部分はクロスワードパズル中心の雑誌で、総合的なパズル誌はこれだけである。
カックロの一例
答え |
クロスワードパズルの数字版も、この雑誌ではいくつかに分類されて、毎号掲載されている。それもこの雑誌独特のネーミングがされている。
まず、カックロ(加算クロスワード)は、一列に入る数字の和がカギとして示されているものであるが、この種のものはかなり古くからあり、H.E.デュードニーが1925年の「ストランド・マガジン」に載せたものは、その草分けといっていいだろう。ただ、カックロでは区切られた一列に同じ数字は重複して存在しないルールになっているが、これにはそのルールはない。右は「ニコリ」に説明用に掲載されている例題である。黒い部分に出ている数は、その右または下の一列の数字の和を示している。なお0は使えない。
つぎにマックロ(マセマティック・クロスワード)であるが、数字の計算がカギとなっているものを言っている。
著者も何題か作ったことがあるが、おもしろいのはL.H.クラークが1954年に著した「数字の楽しさ」の中に5題載っている問題で、どの問題も1つのストーリーになっている。著者もこれに習って、ストーリー性のある問題を作ってみた。それが次のものである。これには、つぎのような説明がついている。
「私の友人は、若者を中心とした奇術クラブの設立会員である。これはそのクラブを題材として作ったパズルで、クロスワードパズルの要領で、ます目に適当な数を入れて頂きたい。なお列の最初に0を入れて016のようにすることは許されない」
ヨコのキー
- クラブは、8月を除いて毎月2回開かれています。1年の開催日数は?
- クラブ会員数の5倍
- 2乗数
- 181や69のように、さかさまに見ても変わらない数
- 11の倍数
- 1年(平年)の日数に、ヨコ1を加えた数
- クラブ会員の平均年齢
- クラブ会員数
- ヨコ12の4倍
タテのキー
- クラブ会員数の6倍
- 13の倍数
- クラブ創立の年(西暦)
- ヨコ12の倍数
- 7の倍数
- ヨコ3の3倍
- 2でも3でも4でも割り切れる数のうち、最小のもの
- 9の倍数
- 4の倍数
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クロスワードパズルの数字版としては、もう1つカギに該当する数、たとえば、「1年(平年)の日数」なら365を入れるというように、非数学的な問題も考えられるが、これでは平凡だ。
前に紹介したクリスクロス(スケルトン)の数字版も当然考えられ、「ニコリ」ではナンスケ(ナンバースケルトン)と呼んでいる。著者は1976年に「数学遊園地」(講談社)を著したとき、この問題を作っている。草分けといってよいだろう。 |