1−13.一小刀問題 |
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江戸時代、興味を持たれたと考えられるものに一小刀問題がある。これは紙を適当に折って、ただ一度切るだけで直接目的とする図形を作ったり、できた断片を継ぎ合わせて図形完成をさせるのである。これは折り紙と深い関係があることは確かだろう。 なにはともあれ、一つ実例を見てもらうことにしよう。[1]は多賀谷環中仙の著した『珍術さんげ袋』(刊年不明、享保12(1727)年以前と思われる)に載っているものである。正方形の紙(1)を対角線に沿って折って二等辺三角形(2)とし、それをさらに四回中央を折って、最後に(6)のようにはさみで切って広げると、井桁の形が出来上がる。 次に切り継ぎパズルの傑作をご紹介しよう。[2]-Aのような正方形の九分の一を欠いた図形を適当に折り、1回切って継ぎ合わせて正方形にするものである。やり方を[2]-Bに示した。これは寛保3(1743)年に刊行された中根彦循の『勘者御伽双紙』に載っている。中根によれば、3片に切って正方形にすること自体は古くから知られているが、最近環中仙が本に書いているので、自分はそれを一小刀で行う方法を載せたとある。 |
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