絵暦は、江戸時代に字の読めない人のために作られた暦で、現在でも盛岡で作られたものが、「南部めくら暦」として民芸品で存続している。次はその平成6年版である。
平成6年版
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この暦は文化7年(1810)のものが、ほとんど現在の形になっており、それ以前からあるものと考えられる。全体が判じ絵になっていて、このままではなんのことかわからないと思うので、少し解説しよう。
まず注意しなければいけないのは、この暦が旧暦(太陽太陰暦)で作られていることである。旧暦では1か月が大の月が30日、小の月が29日で、何月がどちらになるかは年ごとに違っていた。また、このままだと1年で11日季節がずれるので3年に1回閏月を設けて調節した。この暦ではサイコロで示されているのが月で、日は重箱(10を表す)と三角や四角(1を表す)の組み合わせで示している。
年号 | 1番上の中央にある。右読みで、順に平(塀)成(背に井桁)6(丸が6つ)戌(犬)。 |
月の大小 | 左右上部にあり、刀の大小で大の月と小の月を示している。衝立(ついたて)は朔日(ついたち)のことで、朔日の十二支を示す。ここに股の絵がある場合は「又の」で閏月を示す(ただしこの年にはない)。 |
皇紀 | 年号の下右にある。紀(木)元(剣)二千(二せん)六百(銭六百文)五十(五重箱)四。これは明治以後に追加された。 |
恵方 | 方角を十二支で示す(寅卯)。 |
初午 | 葉と旗の乳(ち)と馬でハツウマ(初午)を表す。 その下に絵で庚申(三猿)、甲子(大黒天)、社日(神詣で)、彼岸(彼岸団子)。 |
八十八夜 | 八(鉢)十(重箱)八(鉢)夜(矢) |
入梅 | 荷奪い |
夏至 | けしに濁り |
半夏生 | 禿を生ず |
伏 | 麩が4本 |
二百十日 | 二百(銭二百文)十(砥石)日(蚊) その下は絵で寒の入り(寒念仏)、節分(豆まき)、田植え適期(田植え)、土用入り(涼み) |
十方暮 | 十(十本)方暮(棒杭、ぼうくれ) |
八専 | 八(八個)専(せん、工具の一種) |
稲刈り適期 | 稲刈り |
冬至 | 冬(塔)至(琴柱、ことじ) |
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