インスタント・インサニティはカラーダイスパズルなどとも呼ばれている。
立方体の六面を4色に塗ったもの4個を柱状に並べて、その4側面がいずれも異なる4色になるようにするパズルで、わが国でも50年以上前から売られていた。いつでも手に入るというわけにはいかないが、数年に1回くらいは必ず市販されているので、気長に待てば必ず手にはいる。
著者も特に意識しないで、ある時期から出るごとに買っていたが、先年それを整理していて、気がついたことがある。それは1976年以降に入手したものは、いずれも[1]のような展開図になるということである。
[1]1976年以降の構成
たとえば1976年に入手したアメリカのセットは、1が青、2が白、3が緑、4が赤になっている。それが1980年に売られた増田屋の「キューブ4」では、1が赤、4が青に入れ替わっている。
同じ頃にイタリアで作られたアクリル製の“dadi colorati”という美しいセットは、増田屋のものの4が黒に変わっただけである。イギリスの各面がサイコロ模様の“Diabolical”は、色はついていないが、構成は[1]と同一である。1987年にケーパーカー(ジャパン)より市販された「3D-PUZZLES イン・ジャパン」は、増田屋のもと全く同一の配色である。[1]は構成図であると同時に、このパズルの解答にもなっているが、柱全体を回転させたり、鏡に写したり(それぞれの立方体を180度回転させても同じこと)、立方体の位置を変えたりすることによって出来る解は誘導解とすれば、基本解はこれだけである。
ところで興味深いのは、1935年ごろに日本で売られたものとして松田道雄『パズルと数学II』(明治図書)に紹介されているセットである。その構成は[2]のようになるが、これは[1]に示したものの1が[2]の(1')に変わっただけである。その類似性から考えて、現在のものと無関係とはとても思えない。著者はこれを現在のものの原型と考えて、現在のものを「新型」と呼び、これを「旧型」と呼んでいる。この旧型の基本解は9通りなので、新型はその改良型とみなすことができる。
[2]1935年ごろのセットの構成
ところで、ここにもう1つの変種がある。それは1955年ごろに花山(現はなやま玩具)から市販された「マジックダイス」である。その構成を同じ要領で示すと[3]になる。これまた1番目のものが(1'')に変わっただけである。基本解は24通りある。
[3]マジックダイス(1955年ごろ)の構成
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