1−16.虫食い算 |
|
計算式の一部または全部の数字が空白になっていて、それを推理や試行錯誤で埋めて復元するパズルである。 わが国には虫食い証文の形の虫食い算が多数存在とした。印刷された最も古い問題は、中根彦循が著した『竿頭算法』(天文3年、1738)の中の次のような問題(原文は漢文)である。 客が来てこんな質問をした。たまたまタンスの中から古い書き付けが出てきたので開いてみると、いくらかの銀を37人で等分する問題だった。しかし、虫食いのために銀の総量は真ん中が23匁であることしかわからない。また一人当たりの銀も虫食いのために最後が2分3厘であることしかわからない。いったい銀の総量と1人当たりの分け前は、それぞれいくらであろうか。 この問題は、その後の問題のように、証文の図がついていないが、証文の形にしてみると[1]のようになる。なお[2]は松岡能一の『算学稽古大全』(文化5年、1808)のもので、これを現在の虫食い算の形にすると、 □□□45 ÷ □□ = 273 となる。 このように江戸時代の虫食い算はいずれも虫食い証文の形をとっており、金相場、米相場等がからんでいるものが多い。これに対して現在の虫食い算は、計算式に□、○、*等で示される空白箇所があり、そこに数字を当てて式を完成させる。 虫食い算を解くには、桁数など式の形もヒントになる。[4]はその一例である。出ている数は8が1つだけである。まず、4段目は3桁なのに、3段目は4桁である。これは2段目の1位が8よりも大きい、つまり9だということで、2段目は89に決定する。次に5段目の最高位は9以下、3段目の最高位は1以上だから、4段目は8以下である。1段目の8倍は899以下で、9倍は1000以上だというのだから、調べてみると、こんな数は112しかない。これで事実上解けたことになる。 |
|