ルービック・キューブが爆発的な流行を見たのは、1980年(昭和55)のことである。このパズルについては、当時たくさんの人が論じているし、手元に用具がないと紙上で論じても理解しにくいので、代わりに裏表パズルを紹介しよう。このパズルは、ルービック・キューブの味を机上で楽しめるように筆者が開発したパズルである。
ルービック・キューブをペシャンコにして、裏と表だけにしてみよう。図示しやすいように、表を白、裏を黒とする。動きそのものはルービック・キューブと同じで、一度に任意の1列を回転させることができる。ルービック・キューブはメカニズムの点で大きさに制約があるが、裏表パズルの場合は、もともと机上プランであるからいくらでもサイズを大きくすることができる。それが利点と言えるだろう。
各列に次のような記号をつけることにする。
裏表パズルの位置の表し方
また次は3×3のものを動かした例で、上段のようにすれば1の列の3枚の板が連結して裏返る。下段はこの動作後に A を動かしたところで、やはり同じような動きをする。これで裏表パズルの用具の動きが理解できたと思う。

裏表パズルの動き
そこで、次のように、全部1色のものを市松模様に変えてみよう。ちょっと考えるとその下の図のように4手必要なように思えるが、実はこれは2手で十分である。ウオーミング・アップに、それを考えて頂こう。
市松模様の作り方の例
ところで、2×2や4×4のような偶数次の場合、どこを動かしても全く変化しないパターンが存在する。たとえば4×4の場合には次に示した6種類ある。
 変化しないパターン(n =4)
また、裏表パズルを楽しんでいて気がついたことは、でたらめに作ったパターンの中に、どうしても全部1色にできないパターンがあるということである。3×3の場合を調べたら、パターンは3つのグループに分けられ、同一グループ内でしかパターンの相互変換ができない。これについて、西山輝夫氏が巧妙な判別法を発表している。それは右の図のように、ます目に点をつけ、黒のます目の点を加えて、その絶対値をとる。それが0ならAグループ、1ならB グループ、2ならC グループとなり、A グループのパターンだけが、全部1色にすることができる。
最後に問題を1つ。左の図のパターンを変換して全部1色にしてほしい。最低何手でできるだろうか。 1色にするには?
(「4手を2手に」の答え:2,Bと動かせばよい。) |