1−8.盗人隠し |
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物の配列を変えて、数の増減したのをごまかすパズルを、盗人隠しという。江戸末期の戯作者である柳亭種彦の随筆『柳亭記』の中にこんな話が載っている。 日本と中国との間に、船を検査する番所があって、[1]の左図のように四方7人ずつ見張りをしていたので、「七人番所」と呼ばれていた。 ある日、この島に8人の盗人がやってきて、かくまってほしいと頼んだ。 しかし、四方の人数が7人より多くなると、たちまちばれてしまう。そこで一計を案じて、人数を1人ずつ増やしていって[1]の中図とし、さらに増やして[1]の右図として、8人を無事に隠したという。 |
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西洋でも同じような話があって、古い本にこんな話が載っている。 主人が倉庫の中に[2]の左図のようにぶどう酒を一列に9本ずつ、合計24本貯蔵しておいた。ところがある日、倉庫番がこっそり4本持ち出した。しかし、彼はぶどう酒を[2]の右図のように並べ替えておいた。そのため、主人が調べに来たが、一列はやはり9本ずつなので、数が不足していることに気付かなかったという。 |
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アメリカのW.ホワイトの著した数学の本『初等数学切り抜き帳』 (A Scrap-Book of Elementary Mathematics)(1908) には、次のような話が載っている。 ゴタムにある学校の寄宿舎には、[3]の(1)のように9室あって、各室3人、合計24人の学生が生活していた。ある夜、学生4人が無断外出した。夕方、舎監が見回りに来たが、残りの学生が[3]の(2)のように移動していたので、ばれなかった。 ほかにもさまざまな本に似たような話がのっているが、なぜかどれもあまり好ましい話ではないところが興味深い。 |
[3]ゴタムの学生寮
(1)
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