クロスワードパズルについては、ここで改めて説明する必要はないと思う。クイズの要素とパズルの要素を半々に備えているのが人気の秘密ではないかと思う。
日本で最初に問題が作られたのは、大正14年(1925)のことだという。その頃は珍しさも手伝って結構さかんになったようであるが、その後の人気はあまりパッとしたものではなかった。懸賞問題として週刊誌に毎号1題掲載されるといった程度であった。それが一変したのは昭和57年(1982)のことである。滝沢てるお著『ザ・クロスワード』(平凡社)の成功がブームの火付け役になって、以後続々とクロスワードパズルの本が刊行されるようになり、2,3年の間に約50冊に達した。その後は本のほうは一段落した形だが、クロスワード誌の創刊が相次いで、現在ではすっかりブームが定着した感がある。
それを物語るように、平成3年(1991)にはクロスワードパズルを解くための辞書『クロスワード辞典』(ニコリ)も刊行されている。
特色は愛好者に女性が結構いることであろう。従来、パズルの愛好者はほとんど男性で、女性は寥々たるものであるのが普通だったが、ことクロスワードパズルに関しては女性が目立つし、作家にも女性が少なくない。
ところで、クロスワードはいつ頃から作られるようになったのだろうか。その萌芽は1875年9月にニューヨークで発行された“St.Nicholas”誌に見ることができるというが、一般には1913年12月21日付の『ニューヨーク・ワールド』紙の日曜版の付録『ファン』に載ったものが最初であるとされている。なおヒントは省略するが、どんな言葉が使われているか興味のある方がいると思うので、解答を示しておく。考案者はイギリス生まれのアーサー・ウィンである。
その後、いろいろと改良が加えられ、1924年には最初のクロスワードパズルの本が出版された。この本は大変なブームとなり、アメリカ以外の国へも波及した。今日でも、アメリカ人のクロスワードパズル好きは大変なもので、問題を作ったり、解いたりするための辞書がたくさん作られている。
このクロスワード・パズルは古くから遊ばれていたワード・スクエア(言葉の方陣)から派生したものと解されている。これは縦、横どちらに読んでも同じになるように単語を並べる遊びで、次はその例である。 |