3−12.年賀用パズル |
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パズル仲間の間では、年賀状にパズルの問題や作品を載せるのが流行していて、著者のところへ寄せられるものだけでも数十題に及んでいる。パズル仲間の年賀状は、パズルの競演会のようである。このようなものを著者は年賀用パズルと呼んでいる。 パズルに西暦年数を織り込む試みは意外に古く、第一部で紹介したデューラーの銅版画「メレンコリアl」に描かれた魔方陣にその例がある。これより時代は下がるが、ハーマン・シューバートが1897年に著した本の中にも、次のように一列の和が1897になる七方陣が載っている。 |
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年賀状にこの種のものが登場したのもかなり古く、1940年代後半には作例が見られる。ここには1957年の例を2つ紹介しよう。 |
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次のものは著者が1981年に作った異色作で、さかさまから見ても魔方陣として成り立つ。これはそのままでも、さかさに見ても、一列の和が264になる。 |
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虫食い算や覆面算の年賀用パズルは、著者が1954年に発表したもの(下記の(A))が最初だと思われる。じつはこの前年の年賀状に 1=9−5−3 と書いたのが、パズル仲間に意外に好評であったことから、翌年も何か趣向をと考えて覆面算の利用を思いついたのである。 (A) HAPPY - YEAR = 1954 この覆面算は、江口雅彦が「科学手帳」(詩学社)の第1巻第1号(1954年8月)で紹介するなど、予想以上に好評だった。それに気をよくして、上記のように翌年は平仮名の足し算(B)、その次の年は漢字でわり算(C)、次は同じくかけ算の問題(D)を作った。 さらに次の年は虫食い算・覆面算混合形でわり算、その翌年には十字問題を作った。 虫食い覆面混合型 十字問題 現在では、著者の目に入るだけでも毎年20題以上の問題が愛好家によって作られている。 数字パズルも年賀用によく用いられている。代表的なものは境新の提起した「数楽オリンピック」である。これはその年の年数、たとえば1994と算用記号とを用いて0から100までを表す遊びである。 |