3−5.ザイルトリック |
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1977年5月、パズル懇話会の例会で「パズル玩具セミナー」を催した。その時、芦ヶ原伸之がドイツの「ザイルトリック」という玩具を紹介した。これは次の図のように16枚の正方形の板にロープ(ザイル)の絵が描かれたもので、それを4×4の正方形に並べて、全部のロープが1つの輪になるようにするパズルだった。 しかし、これがけっこう難しいパズルだと聞いて、著者はその構造を調べてみたくなって、これを借り受けた。 ロープの種類 具体的な板の構成を次に示す。
接し方を考えるとI型は全部で10通り、L型は16通り作れる。その26通りの接し方からなぜこの16種を選んだか、その基準はわからない。 A B しかし、Bのようにするには、I型の板が8枚必要なので、このセットではAしかできないという結論になる。これで全体の構成がわかったので、それに沿って板を置いて行けばよい。このザイルトリックには、解が220通りある。そのことは、西山輝夫が手計算で、池野信一がコンピュータで、それぞれ独立に確認している。 このザイルトリックは、パズル懇話会の会員に多大の興味を与えた。池野信一は板を20枚に増やし、I型4種とL型の全部(16種)を用いて4×5の長方形に並べて、ロープを輪にするパズルを創案して、「新ザイルトリック」と名付けた。また、六角形のザイルトリックも考案した。これらは『別冊数理科学 パズルIII』(1978年 サイエンス社)に発表されている。 西山輝夫はI型10種、L型16種を全部用いたザイルトリックを創案した。この場合は、4×6の箱の中央に2個分のでっぱりを設ける。興味のある方は、『パズル四重奏α』(サイエンス社)を見られたい。 |