現在では殆ど消滅してしまったが、一時大流行したものにボナンザグラムがある。これは1954年にアメリカのナナ通信が考案したパズルで、わが国では昭和31年(1956)からブームが起こっている。これは文章のところどころに空欄があって、そこを推理で埋めて文章を完成させるパズルである。
ボナンザグラムがあれほど流行したのは、賞金が当時としては高かったこと、とっつき易いわりに正解者が少ないこと等によるものと思う。正解者が少ないのは、どの空欄もたいてい二種以上の言葉が入るように作られていて、その中にはふつうでは思いつかないような言葉を正解とする場所があることが原因である。文章が完成しただけではだめで、作者の用意した解答文と一致したものだけが正解というもので、推理プラス当てものといった性格のものだった。
サーチワードがアメリカの通俗パズル雑誌にさかんに載るようになったのは1970年代になってからだと思う。これは、四角に並んだ文字列のなかから、指定されたいくつかの単語を探しだすパズルで、通常単語は一直線に並んでいるが、縦、横だけでなく、斜めに並んでいることもあり、向きも逆向きの場合がある。また、同じ文字が重複して使われる場合があるので、注意する必要がある。次はその簡単な例である。この問題では歴史上の人物が例示したものを含めて9名隠れている。ひとつ挑戦してみてほしい。
これは推理というより、勘で探すしかない。このパズルは、アメリカで流行したわりには日本では流行していない。
もう一つ類似のもので、明らかにクロスワードパズルから派生したと考えられるものに、クリスクロスがある。日本ではスケルトンと呼ばれることが多い。いつ頃から登場したかは著者には不明だが、サーチワードと同じ頃にアメリカの通俗パズル雑誌で見かけるようになった。著者が最初の問題を発表したのは1976年であるが、一般に取り上げられるようになったのはクロスワードパズルのブームが起きた1982年以降だと思う。今ではよくクロスワード雑誌に見かけるようになっている。単語を空欄に入れる要領はクロスワードパズルと同じであるが、入れる単語は全部示されていて、ただ入れる場所がわからないのである。 |