3−11.覆面算 |
覆面算というのは、計算式の全部または一部の数字を文字か記号に置き換えたもので、それをもとの数字に戻すパズルである。右はその一例である。 覆面算の名付け親は、海野十三のペンネームで探偵小説や科学小説を書いた佐野昌一である。彼の言によると、数字が文字の覆面をしているのを、推理の力でエイ! ヤッ! と引っぱがすというのである。覆面算のルールとしては、
があり、ここまでは異論がないが、1桁の場合にその文字に0を当てていいかどうかについては、研究者の間でも意見が分かれている。 覆面算は文字を用いるので、少し工夫をすると意味を持った問題を作ることができる。そのやり方には2通りある。1つは暗号覆面算、もう一つはワード覆面算である。 最初の暗号覆面算であるが、これは覆面算を解いて1を表す文字から順に並べると、言葉が現れるものである。次の作品はその古典的作品で、1919年に出されたD・E・スミスの「昔の数の物語」の中にある。 [2]暗号覆面算の古典 この2題はなんの変哲もないようであるが、解いてみると 1234567890 となって、INOCULATES(接種する)という言葉が現れる。 [3]ワード覆面算の古典 覆面算のもう一つの技巧は、配列に工夫をこらしたもので、次の2題は著者の作品である。 [4]技巧的作品・1 [5]技巧的作品・2 覆面算の解き方であるが、例として[3]を解いてみよう。 まず和の最高位を見れば、Mが1であることはすぐわかるだろう。2つの数の和が20を越すことは、下からの繰り上がりがあったとしても、あり得ないからである。 |