1−4.知恵の輪(チャイニーズリング) |
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チャイニーズ・リングと呼ばれる知恵の輪がある。これは[1]のように、細長い板Bに柄のついた環Cが数個(通常4から9個)はめこまれていて、これにAのようなさおが通っている。このAを取り外すパズルである。用具は飛騨の高山で民芸品として売られたほか、時折り輸入品が市販されている。 戦国時代(紀元前403 〜 221)のことである。大国秦の昭王の使者が斉にやってきた。当時、斉では襄王が亡くなって、その后の君王后が政治を行っていた。使者は君王后に玉連環を献上してこう言った。 |
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九連環は、17世紀後半には、日本でもよく知られたパズルになっている。結構人気のあったことは、紋章に知恵の輪の紋[2]まであることでも知られよう。 |
西洋では、イタリアのカルダーノが1550年に書いた本の中で論じているから、相当古くからあることがわかるが、中国との関係はよくわからない。その後イギリスのJ.ウオーリスも論じている。注目すべきは、1872年にフランスのL.グロが二進法を利用してこの問題を巧みに解明したことである。 |
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ここでL.グロのやり方を簡単に説明しよう。まず横線を一本引いて、竿にはまっている環はその上部に、はずれている環はその下部に○印で表すことにする。この記載法で4連のものをはずす手順を図に示すと、[3]の中央のようになる。なお、一番端の、自由にはずせる環のある方を右に置いている。 ところで、
という約束にすると、今の4連のものを解く過程は、[3]の右側のような二進法の数で表せることになる。 8 + 0 + 2 + 0 = 10 で10になる。0000は0であるから、けっきょく4連のものをはずすのに要する手数は10手ということになる。 |
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また、1010から順に1ずつ減らしていって、それをチャイニーズ・リングの配置に翻訳すれば、環をはずす手順を知ることができる。これにはちょっとしたコツが要るが、二進数を最高位から見ていって、
といったことに注意すれば間違えずに翻訳できると思う。 |