2−2.アナグラム |
「ビール」のつづりを変えれば「ルビー」となり、「レキセイ(瀝青)」というアスファルトを指す言葉も「セキレイ」というきれいな鳥の名に変身する。これをアナグラムという。アナグラムは、日本ではあまり行われていない。ただし「いろは歌」だけは例外で、変え歌がたくさん作られている。中でも有名なのが明治36年(1903)に萬朝報社が懸賞募集したときに第一等となった「とりな順」であろう。これは埼玉の坂本百次郎の応募した作品である。 とり(鳥)な(啼)くこゑ(声)す、ゆめ(夢)さま(覚)せ。み(見)よ、あ(明)けわたる、ひんがし(東)を。そら(空)いろ(色)は(栄)えて、おき(沖)つべ(辺)に。ほ(帆)ふね(船)む(群)れゐぬ、もや(靄)のうち(中)。 この時は応募総数が1万を越えたという。また戦後も『週刊朝日』や『週刊読売』が作品を募集している。もう一つ、ある言葉をさかさに読ませる遊びもある。たとえば「手袋をさかさに読んだらなーんだ」と聞いて、「ろく(六)ぶて」と相手に言わせて六回叩くとか、たとえば「竹村まろく」のように逆さに読むと卑わいな言葉になるものを読ませて、相手の反応を見て喜ぶといったたぐいである。 一方、西洋ではアナグラムは非常にさかんで、ギリシア、ローマ時代から行われていた。次に英語のアナグラム文の例をいくつか挙げる。
こうした例は、それだけで1冊の本ができるほどたくさん作られている。ペンネームや通称をアナグラムで作ることもさかんに行われている。最近の例では、『シンデレラの罠』等の作品で知られる推理作家のセバスチャン・ジャプリソ(Sebastien Japrisot)は、本名のジャン=バティスト・ロッシ(Jean-Batiste Rossi)のアナグラムである。推理作家では、日本の作家のペンネームにもアナグラムがけっこう見られる。泡坂妻夫は本名の「厚川昌男」の、加田怜太郎は「誰だろうか」の、それぞれアナグラムである。 1.次の言葉は、有名人の姓名のアナグラムです。いったいだれでしょうか。
2.次はAはもとの単語、Bはできた単語のそれぞれのヒントですが、これから A. B は何であるか当てて下さい。
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