1−7.油分け算 |
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油等を与えられた容器だけを用いて等分する問題が、「油分け算」である。吉田光由の著した『塵劫記』(寛永8年版、1631)[1]に、こんな問題がある。 「斗桶に油が1斗(=10升)ある。これ二人で分けるのだが、7升ますと3升ますしかない。この二つだけで、5升ずつ等分してほしい。」 |
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そのやり方は、まず3升ますで3杯7升ますへ入れる。3杯目は3升ますに2升残る。そこで、7升ますの油を斗桶に戻し、3升ますに残った2升を7升ますに移す。もう1回斗桶から油を3升ますに入れ、これを7升ますに加えれば、7升ますと斗桶に5升ずつあることになり、これで等分されたわけである。 この油分け算は、『塵劫記』以前の日本の文献にも中国の文献にも見当たらない。しかし西洋では古くからあるので、キリスト教の宣教師が伝えた可能性もあるが、確たる証拠はない。
以上の操作を繰り返せばよい。 |
1939年、M.C.K.ツイーディーは、グラフを用いた巧妙な方法を発表した。[2]は『塵劫記』の問題をグラフにしたもので、х軸は3升ます、у軸は7升ます、斜め方向に書かれている数は、斗桶に入っている油の量を示している。出発点はDで、目的地は○印の点である。移動は、直線上を行けるところまで行き、途中で止まることは許されない。まずDからAに向けて出発し、目的値に達するまでのコースをしめしたのが、[3]である。Cに向かって出発すれば、また別の解が得られる。 |
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