何個かの正方形を、辺と辺で接続させたものがポリオミノで、正方形の数が2個ならドミノ、3個ならトロミノ、4個はテトロミノ、5個はペントミノ、6個はヘキソミノ……と呼んでいる。これらを総称したものが、ポリオミノである。
ポリオミノは1953年にハーバード大学の大学院生だったソロモン・W・ゴロムが創案したもので、彼はまた名著『ポリオミノ』(1965)を著している。
このポリオミノのうち特になじみ深いものがドミノとペントミノである。ドミノにはわが国では古くから畳の敷き方の問題がある。四畳半の畳の敷き方は、ふつう下図の[1]のようにするが、中央に炉を切るときは[2]のようにして、半畳の畳を中央にもってくる。では、十二畳半の場合、中央に炉を切る場合の畳の敷き方はどうしたらよいだろうか。畳の場合、四つの角が一箇所に集まって十字ができるのは嫌われるので、それを考慮に入れる必要がある。答は[3]で、この問題は江戸初期の代表的な算数書『塵劫記』に載っている。
[1]四畳半の畳の敷き方 |
[2]中央に炉を切るとき |
[3]十二畳半の場合 |
次にペントミノであるが、これには次に示すように12種類あり、ゴロムはそれぞれの形をアルファベットに見立てて、名前を付けている。
他の研究家もこの呼称を踏襲している者が多い。その覚え方は「フィルピンとTからZまで」である。つまりFILPNとTUVWXYZというわけである。市販のセットは、この12種類の板を全部使って、6×10の長方形を作る問題になっているが、それ以外に5×12、4×15、3×20の長方形を作ることが可能である。
ペントミノ 6×10の作例
また、ペントミノに正方形一辺の厚みを与えた立体を立体ペントミノと呼んでいるが、その場合は3×4×5、2×5×6、2×3×10の直方体を作ることができる。
日本で最初に話題となったのは1956年のことで、『科学朝日』の8月号でこのパズルが紹介され、11月号に読者から寄せられた多数の解答を載せている。アメリカでペントミノが玩具として市販されたのは1957年である。その後わが国でも(株)天洋(現(株)テンヨー)から「No.5 プラパズル」の名で市販された。
6×10のペントミノの解は2339通りあることが確認されている。立体ペントミノはやはり(株)天洋から1970年に「FACOM」の名で市販されている。これは縦、横、高さが5,4,3の直方体を作るもので、解答例を次に示す。解は3940通りある。
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