1−9.さっさ立て |
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これは数当ての一種である。まず碁石かコイン(以下石と略記する)を30個用意する。それから机の上に紙を2枚並べる。用意ができたら相手に石を渡して、自分が後ろ向きになっている間に、紙の上にそれを置いてもらう。 |
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このパズルは中根彦循(1701〜61)の著した『勘者御伽双紙』(寛保3年、1743)に出てくる。この本は江戸時代の代表的なパズルの文献である。 x + y = a ・・・・・・・(1) という式が立つので、(1)×2 −(2) とすれば x = 2a − b となって、先のやり方で右側の石の数が求められることがわかる。 なお、『勘者御伽双紙』には、右に1つ、左に2つ置く代わりに、右に1つ、左に3つ置くやり方も載っている。この場合はかけ声の数を3倍して、石の数を引き、得られた数を2で割れば右側の紙の上にある石の数になる。 「さっさ立て」は、原理的にはツルカメ算と同一である。ツルカメ算の起源はきわめて古く、その原型は今から1700年も前に書かれた中国の数学書『孫子算経』に見ることができる。「さっさ立て」の起源は不明であるが、江戸時代にわりとよく知られた遊びだったことは、その名前が柳亭種彦(1783〜1842)の随筆『柳亭記』に見られることでも明らかだろう。 |